催眠療法で痛みを感じなくするまたは和らげることが可能だとご存知でしょうか。実際に麻酔催眠を手術で使う人はまだまだ少ないですが、痛みを和らげる療法は催眠療法では日常的に使われています。

麻酔催眠というのはその名の通り麻酔薬を注射または皮膚に塗りつけた時の様に一時的に痛みを感じさせないように感覚を麻痺させる催眠です。

体のあらゆる機能は脳の指示を受けて働いています。私達が持っている五感ももちろんそうです。

脳が指示を出しているという事は、潜在意識に働きかければ患者を苦しめている痛みを和らげることが可能だということです。

誰にでも麻酔催眠の効果があるのか

では、誰にでも麻酔催眠の効果が現れるのでしょうか。多少の効果は誰にでも現れますが、実際に麻酔催眠という痛みだけでなく、皮膚そして体の部位の感覚を麻痺させるには患者が身体的傾向でなければいけません。

残念ですが感情的傾向の患者はかなりの練習を積んでも手術出来るほどの麻酔状態に導くことが出来るかどうかは分かりません。

催眠療法士としては、誰にでも麻酔催眠を進めるのではなく、患者の傾向をよく理解し、全ての人に効果が現れるものではないことを説明し理解させることが大切です。

身体的傾向の患者には1回の施術で驚くほどの効果を現すことがあります。20分ほどの施術で片腕全部の感覚が無くなった患者さんもいらっしゃいました。

しかし、通常は手術日の何週間前から練習して準備するのが最適でしょう。他の施術と同じで繰り返しが大切だと覚えておきましょう。

痛みの仕組み

麻酔催眠を施術するにあたって、痛みの仕組みを知っておかなければ適切な施術は出来ません。

私達の身体は「痛み」をどのように感じるのでしょうか。まず、体の一部が熱(焼けたフライパン等)、劇薬や鋭利な刃物に触ったとしましょう。

その箇所が受けた刺激を末端神経が感知し、その情報が中枢神経系へ伝わります。

そして脳内にある痛みを司る部分へ情報が集められ、そこから身体の色々な機能に傷を受けた箇所に対する指示が出されます。

興味深いのは「痒み」も「痛み」と全く同じ神経経路を通り中枢神経系へ伝達されるのです。

リューマチ神経痛や疼痛症などは刺激を感じる末端神経が開きっぱなしの状態で、常時痛みの信号が脳に伝達されています。

それと同じくアレルギー性皮膚炎など慢性皮膚炎で常時痒みがある人も末端神経が開いていて痒みの信号が脳に伝達されています。

また、神経は首の後ろまで来るとそこから中枢神経まではシナプス同士が信号を伝達していきます。

イメージにすると何百人もの人々が情報を右から左へと口頭で伝えていく感じです。もうお分かりだと思いますが、この伝達形式のせいで、人が感じる痛みの度合い、感じ方が人それぞれなのです。

また、中枢神経に辿り着くころには末端神経で実際に感じている状況とは異なる状況で脳に伝わっているということも覚えておくと良いでしょう。

麻酔催眠の注意点

麻酔催眠は歯痛や痛風、怪我など急な痛みから神経痛など慢性的な痛みまで幅広く適用できます。

また、手術や歯の治療のように、前もって患部の全ての感覚を麻痺させることも可能です。しかし、だからこそ、麻酔催眠で必ず忘れてはならない事があります。

麻酔催眠を施術する時に、この麻酔は一時的なもので、一定期間(催眠療法士が明確に時間又は日数を指定してください)痛みを感じなくなるが、医療による診断、治療、処置が必要な「痛み」に関しては痛みが完全に消えず、麻酔時間が切れると再び痛みを感知する機能が正常に戻ると潜在意識に暗示をかけなければなりません。

痛みは理由があって、身体が発信する「何かおかしい、ちゃんと処置してくれ!」というSOSです。その事を忘れてはいけません。痛みをとってしまったことで、治療が遅れ、後々手遅れやもっと酷い状況になるかもしれません。

ただ、同じ痛みでも、完全にとってしまって良い痛みがあります。

これは慢性化した痛みです。神経痛やリューマチ、疼痛症候群など、もう既に症状があることが分かっていて、これ以上痛みを感じる必要がないもの、本当なら閉じないといけない末端神経が開きっぱなしで必要でない痛みの信号を送り続けている状態の時のみ、期限を設けず、完全に痛みを取り除いてあげましょう。

もちろん全ての患者の痛みがすっきり消える訳ではありませんが、続けて施術することで痛みを和らげる効果はかなり期待できます。

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