催眠療法は手術だけでなく大きな不安を伴う処置、治療、検査などにも効果を発揮しますが、ここでは手術前と術後回復にどのように催眠療法を役立てることが出来るかご紹介します。

まだまだ医療と共に併用される機会が少ない催眠療法ですが、催眠療法を活用して行われた手術の回復力が催眠術なしで行った手術よりもずっと早いことは過去の研究で明らかになっています。

手術前の催眠療法

緊急手術などで施術が1回しか出来ない時などは仕方がないですが、理想的なケースは患者が手術前検査に伴う医師又は手術担当看護師とのブリーフィングを終えた後に、手術当日の流れの詳細を聞き、朝起きてから手術までの工程を催眠状態でリハーサルします。

催眠療法士はガイドですので、前もって聞いた詳細に沿って「当日」を導きます。

大切なのは、催眠状態で「リハーサル」をすることで、当日余分な不安や恐怖感じないようにします。

手術日までに余裕があるようだったら、15~20分ほどのレコーディングを作り手術日まで繰り返し聴くことが出来るようにしてあげると良いでしょう。

手術直前に1回しか施術出来ない場合又は手術当日の詳細が不明な場合は出来るだけ一般的な手術日の工程、状況を使い、どんな状況になっても当てはまるようにすることが大切です。

また、万一不安やパニックになった場合に備えて、覚醒後催眠の暗示を組み込むと良いでしょう。

手術後の早期回復

手術前の施術で「リハーサル」をした後、手術後の早期回復用の暗示を入れます。それとは別に手術後のレコーディングを渡して、術後から聴いてもらうようにするか、病院で施術できるようであれば、施術してあげると良いでしょう。

術後の早期回復には、手術が成功して体の機能、食欲など全てが正常に動くこと、身体の回復が早くなることなどを暗示だけでなく、イメージ療法で施術するようにしましょう。

言葉だけでなくイメージも含め全ての方向から施術を行う事が大切です。

また、身体の免疫機能の仕組みや手術、特定の治療などから身体の機能や細胞がどのように回復するのかというシステムを把握して、それを分かりやすくイメージにするか、スクリプトにしてあげると潜在意識がそれを記憶し、身体の機能が潜在意識をフォローします。

また、術後の施術では、傷の痛みなどがあることも考慮して、痛みを和らげる、副作用を抑える、などのスクリプトやイメージ療法を行います。

痛み止めもあまり効かないような痛みの場合は痛みを取り去ってしまうのではなく、痛みを和らげる一時的な麻酔催眠を施術するのも良いでしょう。

手術前後の催眠療法で気を付ける事

患者からの手術の情報量によって詳細にリハーサルをするのか一般的なリハーサルをするのか判断しましょう。

病名や手術、治療名などが前もって分かっている場合は催眠療法士として、その処置工程及び身体のメカニズムなどを下調べし把握しておく必要があります。

使う単語やフレーズは患者が普段使うものを使用します。正しくても医学用語ばかりつかってしまうと、患者側にその知識がなければ施術をしても効果が現れません。

できるだけ、医学用語ではなく、一般的に使われている言葉で施術することが大切です。