私たちは全てのものを、その人独自のフィルターを通して見ています。
この、物事を見る視点のことを「フレーム」と呼びます。
そして、そのフレームを掛け替えることで、同じ事柄でも全く違って見えるようになるのです。
ある大学生の男性が、和食の飲食店でアルバイトを始めました。
彼がその店を選んだ理由は、和気あいあいとしたアルバイト仲間と楽しみながら働けると感じたからです。
しかし、仕事は厳しい料理長の補佐でした。その料理長は根っからの職人気質の人で、料理のバリエーションが多く、それぞれかなり凝った料理を作っていたので、素人の彼にとってはとても複雑な仕事だったそうです。
しかもその料理長はアルバイトにも容赦なく厳しく指導するような人でした。
一方同じアルバイトでもホールに回された人たちは、和気あいあいと楽しそうに働いていました。
彼は、自分だけどうしてこんなに苦しい思いをしなければならないのかと憂鬱な気持ちを抑えることができません。
そして、毎日辞めたいと思うようになりました。
ところがある日、彼の気分を一変させることを料理長は言いました。
「複雑な仕事だからこそ、いつも効率的に仕事をこなせなければならない」
「そのような環境ではじめて判断力や段取り力が高まる」
「そして、このような仕事を通して判断力や段取り力を高めることができたら、社会に出てどんな仕事をしても成功できる」と。
大学生の彼は、実は将来事業家になろうと思っていました。
料理長のその言葉を聞いたことで、仕事の「憂鬱な作業」が、「将来事業家になるための意義あるトレーニング」だと感じられるようになっていったそうです。
このようにある見方(フレーム)を別の視点で捉え直す作業のことを“リフレーミング”と呼びます。
別の切り口で物事を捉え直すことで、古いフレームでは気がつかなかった可能性やアイデアを引き出すことができるのです。
そもそも物事には「良い」「悪い」といった解釈が初めから存在しているわけではありません。
その物事に対し、自身が勝手にイメージをつけてしまっているのです。
“リフレーミング”を行うことで、どんな時でも自分にとってプラスになる、人生に力を与える解釈をすることができるようになり、自分の人生に対する考え方が大きく変わっていきます。
リフレーミングが上手い人の考え方
リフレーミングを上手に使いこなす人は、そうでない人に比べ、楽観的であったり、挑戦をすることに積極的になったりします。
日常生活の中でも、楽しいことを見つけるのが上手で、充実感を持って毎日を過ごすことができています。
“リフレーミング”が上手い人とそうでない人の差は、「前提」の差にあります。
それは、「すべての出来事はいつでも無色透明で、感じ方は自分の考え方や価値観が生み出している」という事実を当たり前だと思っているかどうかです。
“リフレーミング“が上手い人からすれば、その事実は当たり前です。
路線バスを待っていて、出発予定時刻にまだバスが来ていないと、イライラしたり怒りたくなったりすることがあるかもしれません。
それを、自分の心の中に「バスは時刻表通りに来るのが当たり前だ」とか「時刻表通りに来ないことは許せない」という価値観があるからだと“リフレーミング”を使いこなす人は捉えることができます。
「すべての出来事はいつでも無色透明で、感じ方は自分の考え方や価値観が生み出している」という事実が自然と受け入れられるようになることが大切です。
リフレーミングの具体的なトレーニング方法
“リフレーミング”は凝り固まった頭ではうまく行えません。
ひとつの事柄を様々な方向から見る習慣を日頃からつけておく必要があります。
そのために、例として以下のステップで行ってみてください。
Step 1. 自身の性格で、短所だと思っていることをひとつ挙げる。
Step 2. 挙げた性格を、実際感じた場面をイメージする。
Step 3. イメージした場面から、「この性格で良かった」と感じられる部分を考える。
Step 1は性格ではなく他のものでも構いません。
まずは自分が「良くない」と思っているものに対し、“リフレーミング”していくことがやりやすいので、ぜひ試してみてください。
リフレーミングとポジティブシンキングは違う
“リフレーミング“を行う時に気をつけるべきなのが、「ポジティブシンキング」との違いです。
“ポジティブシンキング“は、ネガティブなことを「単に否定する」「覆い隠す」「無視する」などの考えになりがちです。
順に言えば、「(根拠がなくても)俺はできる」「失敗は成功の元って言うし…」「できなくても、まっ、いいか」というような、一見すると望ましい未来に繋がらない危険が潜んだ考え方に導かれることがあります。
これに対して、特定の行動に対して、その視点や枠組みを変えるのが“リフレーミング”です。
行動してみて失敗しても、
「結果が出なかったから意味がない」と捉えるのではなく、
「この失敗は〇〇ということに気づくためにあったんだ」と捉えることが“リフレーミング”です。
自分にとってパワフルかつ、より良い変化を望める視点や枠組みを探して活かしていきましょう。
催眠の学校ヒプノテイメント大阪の「NLP」の記事一覧です。