相手と良い雰囲気を築きながら会話を楽しみたい。

そう思った時、どんなことに気をつけると良いと思いますか?

人は自分と似ている相手や近いと感じる相手に「親近感」を覚えて、「信頼関係(=ラポール)」を築きやすくなります。ですから、相手に似ていると感じさせるように姿勢や話し方を合わせていくことで相手は安心します。

「相手に合わせること」をNLPでは「ペーシング」と呼びます。ペースを合わせるという意味です。

「ペーシング」の技術を用いてコミュニケーションを行なっていくことで、相手はあなたに「親近感」を持つようになります。商談や友人との会話、小さな子どもと話す時など、使えるシーンは様々です。

ぜひ下記に書いてあるやり方を意識的に実践してみてください。

ペーシングの具体的なやり方

ペーシングとは「相手に合わせること」です。

合わせる部分は多岐に渡ります。

それぞれを意識的・無意識的に合わせていくことで信頼感を演出することができます。

姿勢や手足の位置

さりげなく顔の傾きを揃えたり、テーブルの上の手の位置をそっと同じにするなどして、相手と鏡合わせの状態になるよう話を聞く姿勢、首の傾け方、手や足の組み方を合わせていきましょう。

動作

動きのリズムを合わせると自然な感じになります。
相手の手振りに合わせて頷くのが有効的です。

話し方、声の出し方

「語調」や「話のスピード」「声のトーン」を合わせることは最も効果的なペーシングと言われています。というのも、自分の発音の癖を気にしていないことが多いので、合わせていることを気づかれる恐れが少ないからです。

呼吸

呼吸は普段意識せずに行なっています。
ですから、「呼吸の速度」や「リズム」を感じて、それに合わせることができれば、信頼関係をよりスピーディーに築けるようになります。

言葉

相手が使っている言葉を自分も使うことで親近感を持たせることができます。
例えば、「挑戦」と言いたい時に、相手が普段「トライ」という単語を使っているのを思い出したら、「トライ」と言ってみると相手に話が伝わりやすくなります。

感情

「感情」の起伏を合わせることも相手に協調・同意を示す手段になります。
相手が感情を込めている時は、自分も感情を感じながら話してみましょう。

価値、信念、考え

その人のコアとなる部分を共有することで、より信頼関係を築くことができます。
聞き方を変えていくことで、自分と共通する考え方を見つけられると強力な絆になります。

内容

話の「内容」を相手に合わせることで、相手の経験に理解を持っていることを示します。

ペーシングにおける最重要事項〜多くの人が嵌る、ペーシングに隠された落とし穴〜

ペーシングは以上のことを合わせていくことで、信頼感を演出することが可能です。

しかし、これらをただやるだけでは効果がありません。

次に述べることをやっていなければ、逆に不快感を与えかねません。

実際、ペーシングの技術を使って不快感を与えている人は数多くいます。

その人たちに共通しているのは次のことです。

それは、「相手に純粋な興味を持つこと」です。

ペーシングを行なっている際には、「この人はどんなことを考えているんだろうか?」「どんな面白いことを持っているのかな?」といった相手に対する、純粋な「知りたい!」という気持ちが大切です。

なぜなら、実は興味を持っていないことを相手が感じ取ってしまうからです。

人は気持ちによって、表情や仕草が変わります。

仲の良い友人たちと旅行に出かけた時に解放的な気分を感じれば、声が自然と大きくなったり、頬が少し痛くなるぐらい笑ったりします。そしてほとんどの場合、自分がそうなっていることに気づいていません。無意識的に私たちは表情や仕草が変わっているのです。

反対に、親しくない人と一緒にいると、どこかぎこちなさを感じます。

無表情になってしまう時間ができたり、言葉を発していない時間に居心地の悪さを感じたり。

そんな時は「相手は自分に興味を持ってくれている」という気持ちにはなれないでしょう。

上記は無意識でペーシングをしている例でもありますが、ペーシングを意識的に行う時は、自分の気持ちを「相手側に100%向けておくこと」が必要になります。「興味を持って聞くこと」で、相手に「自分の話を聞いてもらえている」と思ってもらえます。

気持ちが伴わないペーシングは相手に違和感を感じさせます。

“興味がある風に感じる”動作・仕草・話し方と“興味がなさそうな”雰囲気。

違和感を感じる相手に信頼感を抱くことはありません。

人間関係を築く際には、必ず心からの興味を持って接しましょう。