話している相手の「本音」がどこにあるのか知りたい。

そう思うことは日々のコミュニケーションの中で多々あるのではないでしょうか。

人の言動と気持ちが違うものであるというのはよくあります。

例えば、後輩や部下があなたの元にわからないことを質問に来て、あなたが説明してあげたとします。

相手は「わかりました」と答えてくれたものの、首をかしげつつ表情はまだ納得がいっていない様子。

このような状況だったら、「本当にわかっているのか」と確認したり、もう一度説明してあげようと思ったりするでしょう。

「非言語」からの情報に私たちの本音は隠れます。

言葉の内容よりも、表情や仕草、声のトーンや目の配り方という無意識になりがちなところから本音は見えるのです。

つまり、そこに注意を払うことで、言葉だけではわからない「本音」を理解することができるようになります。

そのためには、相手の姿勢や仕草などをよく観察することが重要となってきます。

この観察することを、NLPでは“キャリブレーション”と呼びます。

上記の後輩や部下と接した時の例のように、私たちは普段の会話の中でも自然に相手のことを観察して、それに対して反応しています。

そして、人間の脳は意識しようとすると、より“気づき”を得やすくなる性質を持っているのです。

この“気づき“の繰り返しが人を成長させます。

今回は“キャリブレーション”を行う時のポイントについてお伝えしますので、意識的に相手のことを観察してみることをオススメします。

そうすることで、今まで以上に相手が発信している何かに気づけることが多くなり、微妙な相手の動きや変化からでも、相手の感情を読み取ることができるようになっていきます。

“キャリブレーション”を行う時のポイントとは?

“キャリブレーション“は、会話をしながら常に行っていることが必要です。丁寧にキャリブレーションをすることで、相手と信頼関係を築いていくために相手とペースを合わせる”ペーシング“がしやすくなり、相手のことをより深く理解できるように助けてくれます。

キャリブレーションは相手のことを観察するわけですから、「五感」を敏感に働かせていきます。

五感の中でも「視覚」「聴覚」「触覚(=身体感覚)」を特に使用し、相手の状態をリサーチしていくのです。

そして、相手の動きや表情に変化が見られる時もキャリブレーションの効果が発揮できます。

今まで身を乗り出して声高に話をしていた相手の話し声のトーンが変わってきたり、ソワソワと落ち着かない様子で相槌を打つだけになったりした時などは、態度が変化してきた時は何かのサインです。

もしかしたら話題を変えたいとか、時間が追ってきて切り上げたいとか、相手には訴えたいことがあります。

こんな時にキャリブレーションができていれば、素早く対応できるのです。

ただし、相手のことを「よく観察してやろう」とか「心の内を探ってやろう」と思って、ジロジロ見るのは不快感を与えてしまうのでNGです。

目的はあくまでも「信頼関係(=ラポール)」を築いて会話を円滑にすることにあります。

“見る”聴く“感じる”部分をキャリブレーションする

「視覚」を使った“見る”キャリブレーションで注目するのは以下のポイントです。

顔の表情、顔色、話を聞く姿勢、視線の方向、ジェスチャー、唇の様子、手の仕草、足の開き具合、足・腕組み、身体のゆれ、うなずき、呼吸のスピード、瞳孔の大きさ、涙腺、肩の上がり方、眉毛の動き、まばたき、口の開き具合、汗など。

「聴覚」を使った“聴く”キャリブレーションで注目するのは以下のポイントです。

声のトーン、話すスポード、話のリズム、声の抑揚、口数、語尾、間の取り方、話の内容、うなずきの声、笑い声、呼吸の音、吐息、ため息、話し方のクセ、「へぇ」「すごい!」といった感嘆詞、口グセなど。

「触覚(=身体感覚)」を使った“感じる” キャリブレーションで注目するのは以下のポイントです。

体温、空気感、手の感触(握手をした時)、身体の感触(ハグした時)、匂いなど。

“キャリブレーション”能力を高めるワーク

2人で以下のワークを行うことで、この力を伸ばしていくことができます。

Step 1. 相手に「好きな食べ物」と「嫌いな食べ物」を思い描いてもらう。
Step 2. 相手に思い描いた2つを、“両方好きなもの”であるかのように説明してもらう。
Step 3. 自分はその様子を観察し、どちらが相手の好きなものかを当てる。
Step 4. なぜそう思ったかを相手とシェアし、相手にも話している時の感覚を話してもらう。

「好き」と「嫌い」という違う感情を説明することで、感じられることがどう違うかをぜひお試しください。